誰も話さない本当の『ONE PIECE』補足 画について。余白のなさ。
書ききれなかった話。画について。
前回までの話の中で書ききれなかった、画について書こうと思う。
漫画を語る上で画についてふれないことは、まさに片手落ちと言わざるをえないが、これを完璧にできたら僕はすでに評論家としてメシを食える。
とはいえ不完全ながらも色々書いているうちに、『ONE PIECE』の画について思いついたことがある。
それはよくいわれる余白のなさについてだ。『ONE PIECE』の画は他の作品と比べて明らかに書き込みが多い、そればかりかセリフも多い。ジャンプをパラパラとめくっても『ONE PIECE』がどこに載ってるか即座にわかるくらいページあたりの情報量が凄まじい。とにかく背景でも吹き出しでも、効果線でも余白を埋めまくっていると言える。
この余白を埋めるというワードは、おそらく大秘宝ワンピースの正体である歴史の「空白」を埋めるというテーマとダブってくる。
尾田栄一郎という作家を余白を嫌う作家とするならば、画においても、物語においてもそれを徹底していると言えるのではないだろうか。そう考えれば、登場人物たちの過去ばかりか敗北した後の話を洗いざらい紹介することも、この「余白」を埋めていく作業と解釈することができる。*1
*1:この余白のなさについては、よく調べもしない予想でいうけれども、いわゆるオタクの人に『ワンピース』がイマイチうけない理由とも言える。読み手に想像の余地を与えてくれないということで、これはともすると二次創作にしづらさにつながっている。もちろん二次創作といっても様々な形があるし、本当にオタクと言われる人が本作を嫌っている確証もなく思いつきで言っているだけである。