『大家さんと僕』お年寄りとのうらやましい生活。
『大家さんと僕』作者矢部太郎
衝撃のハイレベル
出ました、芸能人がひまなので何かやってみましたというあれ。小説、映画、絵本など色々あって、そのどれもが褒めるにも腐すにも微妙な感じになるあれ。と思ってましたが、これはすごい、ものすごくちゃんと面白い。映像化も時間の問題。
みんながいい気分になる優れた作風
芸人矢部太郎と、下に住む87歳のおばあさんとの友情を描くお話。面白いポイントをまとめる。
①四コマ形式
四コマ形式といいつつも、8~16コマのショートストーリーになっているが基本。全て4コマだと起承転結がいつもあって、わりに読むのが疲れるのでこの構成はとてもよい。最近の四コマは結構これが主流かもしれないけど。
②丸い
大家さんも矢部も、吹き出しも丸いです。目に優しい。
③見えそうで見えない大家さんの表情
これが一番の矢部の天才性なんですが、この漫画じつは大家さんの表情をすごく抑えて描いてます。以下の2つの話は、大家さんの少し湿っぽい話なんですけど、ロングショットや、もの撮りでそもそも顔を映さないようにさえしている。
こうすることで読者が感じる大家さんとの絶妙な距離感が、大家さんのちょっとふれがたい上品さと神秘性を印象付け、ともすると作者矢部自身の図々しくない控えめな人柄、大家さんへの尊敬をも表現している。これが逆に大げさに悲しそうな顔を描いてしまうと、まぁなんでしょう大家さんをいかにも見世物にしてしまおうというような下世話さを感じとってしまうかもしれない。
ぜひ続編が読みたいです。