HONKY TONK 脳内

主に漫画についての評論 好きな漫画はジョジョ・萩尾望都・楳図かずおと答えるようにしてます。 映画についてはTwitterで https://twitter.com/hoorudenka

『CRISIS ON INFINITE EARTHS』 登場キャラクター802人!! お値段5980円(税別)なりいぃぃいいい!!!!★★★

『CRISIS ON INFINITE EARTHS』ライター マーク・ウルフマン ペンシラー ジョージペレス 発行DCコミックス 日本出版ヴィレッジブックス 掲載年1985年1月〜12月

 

お値段5980円(税別)なりいぃぃいいい!!!!

高い!高いぞ!!アメコミの中でもひときわ高い約6000円!

それもそのはず、見てもらいたいこの分厚さ。

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そして1ページあたりのこの情報量。

ちなみに毎ページこれくらいの書き込みとセリフがある。

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『CRISIS ON INFINITE EARTHS』とは

僕も別にアメコミに詳しい人間ではないので、アメコミにおけるこの作品のことは良く知りません。しかし日本で出るアメコミの多くは作品だけでなく、作品の様々な情報と膨大な注釈をつけています。ちなみにこの本も最後の100ページはすべて脚注です!!それをもとにしまして、この作品を紹介します。

一言で言うと、この作品はDCコミック創立50周年という節目に企画されたすべてのヒーロー全員集合!の総決算です!!

 

その前にアメコミの世界観について

この作品を紹介するのにどうしてもアメコミの世界観について、少しだけ説明しなくてはなりません。中途半端な知識の僕の説明よりも、普通にググってもらった方がいいのですが、ちょっとだけ。

アメコミはには2トップのDCコミックスマーベルコミックスがあります。

今回の『CRISIS ON 〜』は前者のもので、有名なのはなんといってもスーパーマンバットマンでしょうか。最近ドラマになっているフラッシュもこのDCです。

後者のマーベルコミックスは、『アヴェンジャーズ』などの映画で大成功している方です。スパイダーマンもマーベルですね。

この2つの会社の出版形式は日本と大きく異なります。

まずすべてフルカラー、そして月刊です。一番大きく異なるのが、ジャンプやマガジンのようにいろんな作家と作品が収録されている雑誌は存在せず、シリーズごとで出版されます。スーパーマンならスーパーマンで一冊が月刊で発表されるということです。

そしてまた日本でいう原作者も、作画も頻繁に変わるし、関わる人数も多いです。下書き専門の人=ペンシラー、ペン入れ専門=インカーのように。ここら辺はアメリカらしく分業体制で、むしろ映画に近い感じでしょうか。

 

クロスオーバーとマルチバースについて

シリーズごとに単体になっているものの、それぞれのヒーローには交流があります。例えばスーパーマンバットマンが対決したり、キャプテンアメリカの映画にアイアンマンが出てきたりと。これをクロスオーバーと言います。

出版社がキャラクターの権利を完全に掌握していることや、書き手がある程度共通しているアメリカの形式だからできることでしょう。日本だとそう簡単にはいかないと思います。このクロスオーバーがアメコミの最大の魅力とも言える要素ではないかと思います。それぞれ主役級のヒーローたちが共闘したり、喧嘩したりするのはとてもワクワクしますよね。

次に、パラレルワールドについて。

この要素がアメコミを豊かに、ある意味ではとても複雑にしているものです。実は、例えばバットマンという人物は一人ではありません。様々な設定のバットマンがアメコミの歴史には存在します。戦いの中で死んでしまうバットマンや、現役を引退して自警団を組織しているバットマン、年をとって様々なメカを駆使しゴッサムを完全に掌握したバットマンなど数かぎりない設定が存在しています。

スパイダーマンがなんども映画化されて、その都度微妙に設定が違うのを疑問に思った方がいたと思うのですが、これはアメコミにとっては普通のことです。スパイダーマンにも様々な設定が存在するのです。というわけでどれが本当のスパイダーマン?という問いに関しては、すべて本物の公式のスパイダーマンということです。

そして、このような複数の設定は消えることなく残っていきます。その際アース1、アース2とか名称を与えられることもあり、このように複数の設定が並行して存在する世界観のことを、マルチと宇宙を意味するユニバースをくっつけて、マルチバースと呼びます。

これだけでもかなり混乱しますが、頻繁にこのアース1とか2とかは交流します。つまり、スーパーマンが別の世界のスーパーマンと出会ったり、ワンダーウーマンが別の世界での自分の子どもと会ったりとかが普通に起こるわけです。

この2つの要素によって、アメコミの世界は無限級数的に複雑化していくことになります。そして、この設定を細かく知り尽くしている人がオタクなわけですが、あっちの言い方だとギーク、映画などでアメコミオタクが疎遠にされるもうなずけるくらい本当にマニアックな世界になっていくわけです。

 

『CRISIS ON INFINITE EARTHS』は85年までの総決算

やっと戻ってこれました本作について。

この作品は1985年、DCコミックスが創立して50年という節目にある企画が持ち上がりました。その企画とはこれまでのすべてのシリーズ、もちろんクロスオーバーとマルチバースによって膨大に膨れ上がったそれを一度すべて清算するというめちゃくちゃに大変なものでした。

ヒーローも悪役も全員集合、それも1人でなく2人くらいいるのが当たり前の大作ができあがりました。そういうわけで登場キャラクター802人も当然です。ちなみにスーパーマンも2人いるし、ワンダーウーマンも2人いるし、全く知らないヒーローも無数に登場します。ですが、心配しないでください。巻末にすべてのヒーローの説明があります。

スーパーマンは若いのと老齢のがいる。以下は老齢が結婚について、若い自分に説明してる場面。

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本作の魅力

よし!買って読もう!Amazonポチーという人はなかなかいないかと思いますが、

その魅力を述べますとなんといっても、どのページでもヒーローが協力して戦ってるよわーい!!という単純な喜びですよ。

 

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本作の楽しみ方。

 はっきりいって1回読んでも全く全体像がつかめません。ヒーローがいすぎるし、それぞれに設定が多すぎるので。

なので一回は普通に読んで、次に巻末の注釈読みながら読んで、最後に注釈だけ読むというこれだけで3日は楽しめますね。ちなみに巻末には、それぞれのヒーローの注釈、本作に至るまでの代表的な作品の紹介、細かい注釈とたっぷり100ページも収録されていますので飽きがきません。

なので、5980円(税別)の価値はある!!

でも、ちょっと古いのでアメコミ完全初心者にはおすすめしません!

 

クライシス・オン・インフィニット・アース (DC COMICS)

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